妻は一通り目を通したようで、ほかの本の内容も教えてくれます。
「この本は『気を高めて厳しい食事療法を励行すれば治らない病気はない』だって。こっちの本によると『ゲルソン療法』という食事の方法があるらしくて、コーヒーを飲むことは原則禁止、それなのに4時間おきにコーヒーの浣腸をするみたい。ほかにも『尿を飲む治療』を紹介している本もあったわ。気味が悪いし変だよね。これってなんなんだろう?」
Hさんは、「私はまだ早期のがんだけど、がんが再発した人や、医者からもう治療法はないなんて言われた患者さんは、きっと『今あるがんが消える』とか『治らない病気はない』と書いてある本を見ると買ってしまうかもしれないね」と答えました。
そして、かつて職場研修の講義で、栄養士が話していた言葉を思い出しました。
「キノコをたくさん取ると免疫力が上がるとか、果物ががんに効くとかということはありません。食事は偏りなくいろいろな種類でバランス良く栄養を取るのがよいのです」
Hさんの手術は無事に終了し、がんはすべて切除できて職場に復帰しています。
がんと向き合い生きていく