医者も知らない医学の新常識

痛み、違和感、声がれ…喉の不調に胃薬は効果があるのか

写真はイメージ

 喉の不調というのは、クリニックの外来では非常に多い訴えです。痛みもあれば、何かがつっかえたような違和感、声がれや咳などその内容はさまざまです。一時的なものであれば、風邪かなと思い様子を見るところですが、1カ月経っても改善しないような場合には、何か重い病気が隠れているのではないかと不安になり、医療機関を受診される方が多いと思います。検査をして喉のがんなど、原因が見つかることもありますが、多くの場合、原因は不明です。

 こうした原因不明の喉の症状に対して、日本はもちろん海外においてもよく処方されているのが、「プロトンポンプ阻害剤」という強力に胃酸を抑える作用の胃薬です。耳鼻科で喉の奥を調べると、声帯の周りに炎症が起こっていることが多く、胃酸の逆流がその原因ではないかという考え方があるからです。ただ、実際にはそれを証明するような、信頼のおける研究結果があるわけではありません。

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石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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