今月20日、アメリカにバイデン新政権が誕生。いま彼に最も期待されているのは新型コロナウイルス対策ですが、いったい何がどう変わるのでしょうか。
1月中旬現在、アメリカではコロナ感染者の累計が2300万人、死者はまもなく40万人に迫ろうとしています。そしてクリスマス休暇で多くの人が移動したために、1日20万人以上が感染、約4000人が亡くなるというこれまでで最悪の状況を迎えています。
頼みの綱はワクチンですが、その接種も予定より大幅に遅れている状況で、まだ人口の3%しか接種を受けられていません。ワクチンが国から供給されても、その先のロジスティクスが十分でなく、州によって優先的に接種を受けられる条件が異なることもあって、情報が混乱。いわゆるボトルネック状態になってしまっているのが大きな理由です。
バイデン次期大統領はこうした対応をすべて州任せにしてきたトランプ政権を批判。就任以降の最初の100日間で延べ1億人にワクチンを接種するという野心的な計画を打ち出すと発言していましたが、そのために最も必要となるのは巨額の資金です。
その予算に関して、就任式まで1週間を切った14日に総額1・9兆ドル(約197兆円)のコロナ救済予算案を発表しました。まず注目されたのが、国民への一律1400ドルの一時金、失業保険への週400ドルの上乗せ、最低賃金の時給15ドルへの値上げなどです。
医療に直接関わる部分では、ワクチン接種のために200億ドル(約2兆円)を計上、アメリカに住むすべての人が国籍や違法か合法かを問わず、無料で接種が受けられるようにするとしています。また検査の拡充や医療器具の調達にも大幅に予算を割いています。
一方、シャットダウンしている学校を安全に再開するために必要な環境づくりの十分な予算も確保。就任100日以内にはほとんどの学校をオープンしたいとしています。
就任早々に予算を急ぎ成立させ、対策に着手できるのか? ここにアメリカの運命がかかっていると言っていいと思います。
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