役に立つオモシロ医学論文

糖尿病の犬を飼っている人は同じく糖尿病になりやすい?

写真はイメージ

 ペットとして飼われることの多い犬や猫は、人間と同じように糖尿病にかかることもあります。糖尿病の発症リスクは遺伝的な要因だけでなく、生活習慣も大きく関わっていることはよく知られています。そのため、生活環境を同じくしているペットとその飼い主は、健康状態も似てくるかもしれません。犬や猫とその飼い主の糖尿病リスクを検討した研究論文が、英国医師会誌の2020年クリスマス特集号に掲載されました。

 この研究では、スウェーデンに在住している犬と飼い主20万8980ペア、猫と飼い主12万3566ペアが解析の対象となっています。研究に参加したペアは、ペットが糖尿病か否か、飼い主が糖尿病か否かで分類され、糖尿病の発症リスクが比較されました。なお、結果に影響しうる飼い主とペットの年齢・性別、社会経済的状況などの因子について、統計的に補正を行い解析しています。

 最大で6年にわたる追跡調査の結果、飼い主の糖尿病リスクは、飼っている犬が糖尿病でない場合に比べて糖尿病の場合に32%増加しました。他方で、犬の糖尿病リスクは飼い主の糖尿病の有無とは明確な関連性を認めませんでした。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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