その感染予防対策が一般の人に受け入れられるレベルであれば、それが今後の公衆衛生におけるスタンダードになっていきます。そうなると、医療の中における「予防」のプレゼンスが高まり、近年問題になっている莫大な医療費の削減にもつながります。
新型コロナウイルスの感染予防対策として、手洗い、マスク着用、3密回避などがある程度浸透したことでインフルエンザのような飛沫感染による呼吸器系の感染症、ノロウイルスのような接触による消化器系のウイルス感染症がすでに大幅に減っています。結果的に、これらのウイルス感染症で亡くなる人や病院で治療を受ける人が激減しているのです。
これまで、政府は1次予防の重要さを国民に周知させようとしてきました。たとえば、メタボ健診で高血圧や糖尿病といった生活習慣病の患者を減らし、医療費を抑えようとしていました。しかし、多くの人はそれほど1次予防の大切さを実感することはなく、「病気を見つけてから治療を受ける」という医療の流れが大きく変わることはありませんでした。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」