■まずは手術不能の頭頚部がんが対象
この治療の特徴は「選択制」の高さと「二段構え」であること。そして何より近赤外光と薬剤は人体にほぼ無害であるという点だ。
従来の3大治療である手術、抗がん剤、放射線はがん以外の組織にもダメージが及び、副作用や後遺症がつきまとう。また、治療による免疫機能の低下という矛盾を残してしまう。それこそが従来、がんという病の宿命だった。
それが光免疫療法は「がんを壊しながら同時に免疫をつける一挙両得を狙った治療です」という。なぜ可能なのか。
「がんの細胞膜に1万個程度の傷をつけることで、『免疫原性細胞死』という特殊な壊れ方で、きれいに破れて壊れるので、その中身が新鮮な状態で外に放出されます。この中身が健康な免疫細胞に届き、活性化させる。照射により全てのがんが壊れなくとも免疫細胞ががんを抑え込むことがわかっています」