コロナワクチン接種の健康被害は頻度が高く症状も重いのか

英国でもワクチン接種が進んでいる
英国でもワクチン接種が進んでいる(C)ロイター

 新型コロナウイルスのワクチンを投与した高齢者が33人死亡――。ノルウェーでの報告に不安を抱いた人は多いだろう。日本でも2月下旬からワクチン接種が始まる予定だが、大丈夫なのか。

 ノルウェーでは高齢者向け介護施設に入居している人から優先的にファイザーのワクチン接種が始まっていて、1月中旬までに4万3740人が投与を受けた。そのうち、75歳以上の高齢者33人が死亡したという。接種を受けた高齢者の中には、持病があって余命が数週間から数カ月だった末期患者も含まれていて、ノルウェー医薬品庁は「33人の死亡例とワクチンを直接結び付ける証拠はない」としている。

 ファイザーのワクチンを80万人以上が接種したドイツでも、7人の高齢者が接種して間もなく死亡している。こちらも、死因は患者の基礎疾患でワクチン接種ではないと判断された。

 アメリカ国立衛生研究所(NIH)でウイルス学・ワクチン学の研究に携わった本間真二郎医師(七合診療所所長)は言う。

「ほとんどのワクチンで、痛み、腫れ、発熱、吐き気、下痢といった一般的な副反応が表れるケースが多く見られます。多くの健康な人には深刻な問題にはならないといいますが、持病を抱える高齢者にとっては致命的になってしまう可能性がある。高齢者や持病がある人への接種は慎重に検討すべきです」

 健康に問題がない人でも、ワクチン接種による健康リスクがゼロというわけではない。

 米疾病対策センター(CDC)の報告では、ファイザーのワクチン接種が始まった2020年12月14日から18日までの5日間で、11万2807人のうち3150人(2・79%)に健康被害があったという。

 詳細はわかっていないが、健康被害に該当するのは、「普通の日常生活が送れない」「仕事ができない」「医師または専門家によるケアが必要」といった状態とされている。

「健康被害が表れた人の年齢や基礎疾患の有無もはっきりしていませんが、少なくとも接種開始から数日間で、日常生活や仕事ができないくらいの健康被害が数千人規模で発生したということです。この数字は、従来のインフルエンザワクチンによる副反応よりもはるかに多く、症状が重いケースも多いという印象を受けます」(本間氏)

■インフルエンザワクチンと比較すると…

 医薬品医療機器総合機構の「インフルエンザワクチン接種後の副反応疑い報告について」によると、2019年シーズン(2019年10月1日~20年4月30日)の推定接種者数は5649万6152人で、そのうち278人(0・00049%)に副反応が表れ、93人(0・00016%)が重篤、5人(0・0000089%)が死亡したと医療機関から報告されている。

 先ほどのCDCの報告では2・79%に健康被害が表れているから、今回の新型コロナワクチンは“寝込んでしまう”ほどの副反応が起こる確率は高いといえる。

 また、CDCはワクチン接種によってアナフィラキシーを起こしたケースも報告している。アレルギー反応の中でも特に重篤な症状を引き起こすのがアナフィラキシーで、抗原が体内に入ることで複数の臓器や全身に症状が表れ、命に危険が生じる場合もある。

 昨年12月14~23日にワクチンを接種した約189万人のうち21人にアナフィラキシーが見られ、100万人あたり11・1人に起こった計算になる。従来のインフルエンザワクチンでは100万人あたり1・3人だから、やはり頻度が高い。

「新型コロナウイルス感染症は、そもそも大多数の人は軽症で治癒する病気といえます。自分の状態や環境をしっかり見直して、ワクチン接種が本当に必要なものかどうかを考えるべきでしょう」(本間氏)

 ワクチン接種のリスクとベネフィットを冷静に判断したい。

関連記事