Dr.中川 がんサバイバーの知恵

俳優の綿引勝彦さんが膵臓がんで他界…CTやMRIで早期発見を

写真はイメージ

 実は最近、膵臓がんのリスク因子が分かってきていて、リスク因子があればすぐにCTやMRI検査を受けることで早期発見しやすくなっています。その典型が糖尿病で、特に発症1年未満は糖尿病でない人に比べて発症リスクが5・4倍。新規の糖尿病患者や急激に血糖コントロールが悪化した人は、検査を受けるべきです。さらに、慢性膵炎、BMI(体重<キロ>を身長<メートル>で2回割った数値)30以上の肥満もリスクです。

 これらの人への検査で早期の膵臓がんが見つかったら、手術の前の化学療法を行うのが賢明でしょう。2年前、東北大の研究で、術後に化学療法を行うより治療成績が高いことが証明されたのです。糖尿病をキッカケに早期膵臓がんが見つかったケースは、この適応になることが多く、期待が持てるでしょう。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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