進化する糖尿病治療法

正確な中性脂肪値を知るのは困難… ニセの数値であることも

脂っこいものばかりはダメ

 心筋梗塞や脳卒中など心血管イベントを起こしやすい糖尿病、脂質異常症、高血圧のうち、脂質異常症は「なんとなく、よく分からない病気」という印象がありませんか? 脂質異常症はその名の通り、血管内に脂質が過剰になった病気です。悪玉コレステロール、善玉コレステロール、中性脂肪の数値で脂質異常症かどうかを調べます。

 悪玉コレステロールや善玉コレステロールは体質の影響も大きく、食事内容を多少変えたからといって、数値が大幅に改善することはまれです。

 一方、中性脂肪は食事の影響を受けやすい。数日間、食事内容に気を付ければ数値がガクンと下がるケースは珍しくありません。特に、善玉コレステロール値が低い方は要注意です。

 52歳で脳卒中を起こした男性は、ずっと自分は「健康体」だと思っていました。血糖値、高血圧、悪玉コレステロールはやや高めですが、中性脂肪は、まったく高くなく、基準値内をキープしていました。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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