進化する糖尿病治療法

正確な中性脂肪値を知るのは困難… ニセの数値であることも

脂っこいものばかりはダメ

 というのも、会社の健康診断前に「準備」を始めるから。約1カ月ほど飲み会は控え、朝はコーヒーだけ、昼は立ち食いそば、夜はご飯抜きのおかずだけ。必死に食事内容を「整える」のです。

 結果、先ほど述べたように数値は基準値内に。健診が終わった後は、お酒は好きなだけ飲み、食事も好きなものを食べる。

 この男性の普段の生活といえば、昼は揚げ物がメインの弁当や立ち食いそば屋の天ぷらそば、丼屋の牛丼やカツ丼が中心。夜はビールやサワーをグビグビ飲み、帰り道にラーメンや牛丼を食べる。とにかく脂っこいものが好物。

 私たち医師が指摘するまでもなく、糖尿病、脂質異常症、高血圧を容易に招くような食生活ですよね。男性も、うっすら気付いていたのでしょう。だからこそ、健診前に「準備」をしていた。しかし、数値では「異常」とならないから、「まぁ、自分は大丈夫だろう」と思っていたのでしょう。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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