セックスが痛い

中高年にこそ性教育を 新方式の実践でセックスが楽しくなる

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 ネットショップで性教育の関連の本を検索していたら、なんと昨年は26冊も出版されていました。一昨年に出版された性教育関連の本は、たった5冊しか出てこなかったので、まさに昨年は「性教育ブーム」だったのかなと思います。

 なぜこんなに性教育関連の本が出版されたのか? 思春期保健の団体を10年以上主宰してきた方にお話を伺うと、「家庭での性教育の必要性が30~40代向けの女性誌でも取り上げられるようになり、親がどうやって子供に性教育をすればいいかという課題が生まれた。さらに、性教育の普及活動をしてきた人たちが、社会に広めるきっかけをつくったのも大きい」と言います。

 新しい性教育は「包括的セクシュアリティー教育」と呼ばれ、従来の生殖中心の教育とは異なります。内容は、健康に関わる科学知識や、人との関係性や性行動を選択するための価値観、スキルなど。幼少期に始まり、年齢や成長に合わせて徐々に行う教育のため、それぞれの成長期別に本が出ています。

 日本では、性教育を「寝た子を起こす」と性行動を早めるきっかけになると危惧したり、性知識は自然と学ぶものと発言する人が少なくない。しかし包括的セクシュアリティー教育は、科学的に性を理解し、性行動を自分たちで管理できる知識です。学ぶことで、むしろ慎重に行動するようになります。

 残念なのは、中高年向けの包括的セクシュアリティー教育本が見つからなかったこと。生殖を目的としない夫婦間の性生活は性交痛や性機能障害に悩んだり、体の変化に戸惑ったり、病気などさまざまなことを乗り越える中にあります。

 性に関してどう行動していいか分からない大人が多いと、性交痛の活動を通して感じています。性を肯定的に考えられないのは、性について真っすぐに学ぶ機会がなかったことも影響しています。大人向けの包括的セクシュアリティー教育本が出ることを、ワクワクして待っています。

小林ひろみ

小林ひろみ

メノポーズカウンセラー。NPO法人更年期と加齢のヘルスケア会員。潤滑ゼリーの輸入販売会社経営の傍ら、更年期に多い性交痛などの相談に乗る。

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