「もともと航空医学で使われている言葉で、パイロットに起こることがあります」
低酸素血症になると、今までできている行動が取れなくなったり、判断能力が鈍ったりする。この症状を「多幸感」といい、とても具合がよく、素晴らしくいい気分になるといわれている。これを「幸せな低酸素血症」と呼ぶ。
通常は、酸素飽和度が90%を下回ると、息苦しくて仕方なくなる。ところが、「幸せな低酸素血症」に陥った場合、苦しさを感じないため、自分が低酸素血症になっていると気付けず、初期症状を見逃してしまう。結果、気付いたときには重症化しており、死亡リスクが高くなる。
「低酸素血症の人が全員『幸せな低酸素血症』になるのではありません。一部ではあるものの、コロナに感染していたことが分かり、軽症と診断されたけれど『幸せな低酸素血症』になってしまうのではないかと心配な場合は、低酸素血症を視覚的に判断する方法としてパルスオキシメーターを使用する手があります。パルスオキシメーターは簡易的ではありますが、早期に低酸素血症かどうかを判断できます」