身近な病気の正しいクスリの使い方

健康維持で大切なポイントは3つに集約される

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 長らく続いている新型コロナ禍は健康にも経済にも社会に大きなダメージを与えています。「ニューノーマル」という言葉もできるくらい社会には“新しい常識”が浸透し、人々の考え方や文化が激変しています。マスク着用が当たり前という考えは新たな文化と呼べるのではないでしょうか。

 いまは外出頻度が低くなっていますが、「できることなら行きたくないが、必要に応じてできる限り早く行かなくてはいけない場所」の代名詞といえば、病院、歯科医院、薬局といった医療機関でしょう。コロナ禍で患者数が格段に減ったとはいえ、1日の平均患者数や外来(通院)患者数は100万人を超えていて、いかに医療機関を受診する人が多いかという数字の大きさに驚かされます。

 多くの人が健康であるべきだが、一方で患者数が減れば病院経営が成り立たない……そんなジレンマがあるのは事実です。ただ、国の医療財政的にも、ヒトが本質的に健康でありたいと思う感情論的にも、やはり健康であろうとすることは大切です。それはニューノーマル社会においても変わらないか、むしろ健康志向が高まる文化になってきているようにさえ感じます。

 健康であれば医療機関を受診する回数を減らすことができますが一方で速やかに受診する必要がある症状、いわゆる「レッドフラッグ」を見逃しては大変です。つまり健康維持で大切なのは、①健康でいる意識を高めて普段の生活の中でできることを行う②体調の変化に気を配ってガマンしない③定期的に健診を受ける、ということに集約されるのではないでしょうか。

 この連載では身近な病気、もしくは病気とまではいかないけれど健康に影響を与える症状、慢性的に抱えている持病のような症状について薬を中心に予防の方法や症状緩和のためにできることについて紹介していきます。

神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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