最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

入院先の主治医が反対して在宅医療に切り替えられない…

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 在宅医療に切り替えたいけれど、入院先の主治医が反対しているという話を聞くことがあります。どうしてそういうことが起こるのでしょうか?

「在宅医療に切り替えたい」のはどんな時かというと、病状が重篤で、患者さんもご家族も最期の時が迫っているのをうすうす感じているといった場合です。あるいはそこまで深刻でなくても、「これ以上良くならないなら、住み慣れた我が家で、家族とともにゆっくりと過ごしたい」という時ではないでしょうか。また、「入院したものの自宅で過ごしたくなる」「退院後の通院が大変になる」というケースもあります。

 一方で医師側からすると、「病状が安定していない。まだできる治療があるかもしれない。そんな不安定な状態で、患者さんを次の医師に引き渡してはいけない」といった考えがあります。それが冒頭の「主治医が反対」とつながっているのです。

 しかしそれは、患者さんの残された時間が短いだけに、数日の遅れが、ご家族に大きな後悔を抱かせる結果を招くことになるかもしれないのです。「せめて意識のはっきりしている間に、自宅の居心地のよさを味わわせてあげたかった……」とならないためにも、まずは医師にしっかりと在宅医療を希望している旨を伝えることが大切です。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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