独白 愉快な“病人”たち

不整脈で救急搬送のせんだみつおさん 死んじゃうのかなと…

せんだみつおさん
せんだみつおさん(C)日刊ゲンダイ
せんだみつおさん(タレント・73歳)=不整脈

 去年の11月に「心疾患で救急搬送」とネットで報じられまして、敬愛する長嶋茂雄さんや芸能界の友人から「大丈夫?」といっぱい連絡をもらいました。ありがたいです。でも、もう元気そのもの。薬も飲んでいません。通院もしていませんが、月1回、心電図をとってもらい、異常がないか確認しています。先日検査したときは、1分当たりの心拍数が66回で、まったく異常なしでした。

 お医者さんから「毎月検査してください」と言われたわけではありません。ただ、救急隊員の方、看護師さん、お医者さん……多くの医療従事者の方々に助けていただいた命ですから、おろそかにしちゃいけないと思いましてね。お医者さんには「優秀な患者さんですね」と言っていただいています(笑い)。

 具合が悪くなったのは、去年の11月21日の深夜0時半ごろ。いつも1~2時ごろに寝るので、寝る前にリラックスしてテレビで映画を見ていたんです。そうしたら急に動悸がして、左腕が冷たくなった感じがしたんです。中に氷を入れたみたいに。その冷たさがだんだん上のほうまで上がって肩にきて、胸へ広がって、最終的には、胸の真ん中あたりがバクバク……。400メートルを全速力で走ったときのように、ハァハァと呼吸が苦しくなりました。

 心臓ですから、とにかく恐怖! ものすごく不安になりました。「やばい……このまま死んじゃうのかな」と思って、すぐに救急車を呼びました。酸素吸入器をつけてもらって大学病院に搬送されたんですけど、そのときの脈拍が192! 大変な数字です。

 でも、ERで点滴をしてもらううちにバクバクが治まりました。お医者さんには「このまま入院して、明日、精密検査を受けましょう」と言われたんですけど、「入院拒否承諾書」を書いて3時ごろに帰宅したんです。翌日にイベントの仕事が入っていたもので……。

 ただ、よく考えてみたら仕事の現場で倒れたら迷惑をかけてしまうので、仕事はキャンセルさせていただきました。で、「やっぱりちゃんと診てもらおう」と思い直して、無症状だったんですけど病院へ行って検査してもらったんです。

 結果は「異常なし」でした。後日、24時間心電図を測れるホルター心電図で検査しましたが、それでも異常なし。結局、心筋梗塞でも心不全でもない、一過性の「不整脈」だったんですね。

 自分では、「2020年コロナ禍仕事皆無ストレス症候群」だと言っているんですけど(笑い)。

 それくらい去年は大変でした。テレビやラジオのレギュラーを持っている芸人はいいですけど、僕のような司会や講演で食べてる芸人は全滅でしたから。心臓に症状が出たのは、寒さもあったと思いますけど、ストレスが良くなかったんだと思います。仕事がなくてずっと家にいると、おかしくなりますよ。

■気持ちに余裕を持つよう心がけている

 実は不整脈で救急車に乗ったのは3回目なんです。1回目は3年前の8月20日、2回目は一昨年の11月8日、それで、「芸能界の医学博士」といわれる所属事務所の最高経営責任者・生島ヒロシさんの紹介で、去年3月に順天堂医院の名医に診ていただいたんです。そのとき「6年ぐらいたったら心臓が弱るかな」と言われたので、気をつけてはいたんですけどね。

 でも、救急車を呼んだから助かったんですよ。呼ばずにガマンしたために亡くなる方って、少なくないそうです。われわれ団塊の世代はみんな70代になって、これから順番に黄泉の国へ行くわけだけど、心疾患は増えるでしょうね。人間ドックを定期的に受け、動悸がしたら躊躇せず救急車を呼ぶ。そして、ムスコを元気にしようと、強いサプリメントは飲まないことですね。ナハ! ナハ!

 お医者さんに、日常生活で一番注意するように言われたことは「急がないこと」。たとえば、電車の扉が閉まりそうなときに走って飛び乗ろうとせず、その電車をやり過ごして次の電車を待つ。僕はせっかちなので、つい走って飛び乗ろうとしちゃう。分刻みで仕事するぐらい忙しくするのも好きですしね。でも、それじゃダメ。今は生き方を変えて、のんびりして、気持ちに余裕を持つよう心がけています。

 あと、寒い時期にゴルフをしない。寒暖の差が心臓には良くないので、家の中ではお風呂とトイレに気を付ける。外出時は、このジャケット(写真)をちゃんと着る。息子(俳優のせんだ雄太)が「寒いのはいけない」って買ってくれたんですよ(笑い)。

 これまで病気といえば31歳のときに激務から肝臓を悪くして、半年休業したことがありました。おかげで、僕の仕事は黄金期から一気に氷河期になりましたけど(笑い)。以来、2年おきに健康診断を受けてきました。これといった病気はなかったんですけどね。“元祖ピークを知る男”ですから、これからは第2黄金期を目指してがんばりますよ! 負けるな団塊!!

(聞き手=中野裕子)

▽せんだ・みつお 1947年、樺太生まれ。駒沢大学経済学部中退後、バンドの付き人やコンサートの司会を始め、スカウトされて69年にラジオ番組のリポーターとしてデビュー。72年からバラエティー番組「ぎんざNOW!」(TBS系)、翌73年から「金曜10時!うわさのチャンネル!!」(日本テレビ系)の司会を務め、「ナハ! ナハ!」のギャグで人気を博した。近年は司会業をメインに活動している。

関連記事