ビートルズの食生活から学ぶ健康

ジョージは肉や魚を調理するのも食べるのも許さなかった

ジョージ・ハリスン(左)とパティ・ボイド(C)ロイター/MPTV

 映画「ヘルプ」の撮影時にインドの楽器シタールに興味を持ったジョージはその後、インドの文化やヒンズー教に傾倒します。一般的にはそれがきっかけで菜食主義者となったとされています。しかし、パティの著書を読むと、菜食主義への関心はそれ以前に芽生えていたことがわかります。

 結婚当初、パティはジョージが好みそうなシェパーズパイ(マッシュポテトのパイ皮と牛肉や羊肉で作るパイ)、ヨークシャープディング(いわゆるプリンとは別物の軟らかいシュークリームの皮のようなもの)、ローストビーフといったイギリス風の料理を作っていたようです。

「そのうちジョージと私はベジタリアンとなり」と著書にはあります。ベジタリアンへの関心が高まったのは食用牛について知ったからです。知人からもらった牛の飼育に関する本を読み、肉食への疑問が芽生えます。こうつづっています。「牛の赤ちゃんがいかに残酷な扱いを受けているかを知ったのがきっかけだった。暗くて小さな木箱に押し込められ、体の向きを変えることすらできないようだ。金属製の柵を舐めている写真も載っていた。以来、肉は食べないと決めたわけだ」(同書から)

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松生恒夫

松生恒夫

昭和30(1955)年、東京都出身。松生クリニック院長、医学博士。東京慈恵会医科大学卒。日本消化器内視鏡学会専門医・指導医。地中海式食生活、漢方療法、音楽療法などを診療に取り入れ、治療効果を上げている。近刊「ビートルズの食卓」(グスコー出版)のほか「『腸寿』で老いを防ぐ」(平凡社)、「寿命をのばしたかったら『便秘』を改善しなさい!」(海竜社)など著書多数。

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