科学が証明!ストレス解消法

だれでも簡単「イライラ」を速やかに消し去る2つの方法

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 電車が少し遅延していたり、レジ待ちの時間がちょっと長かったりするとイライラする……。「昔はこんなにイラついていなかったのに」と感じている人は、結構いるのではないでしょうか?

 博報堂生活総合研究所の調べによれば、特に40代男性がイラつき傾向にあるらしく、ウィズコロナの背景も重なり、何かとイライラしてしまう人は少なくないようです。昨今は、“アンガーマネジメント”と呼ばれているように、怒りを予防し制御する術が注目を集めています。人間ですから、イライラするのは仕方がない。どのようにイライラと付き合うかが重要になってきます。

 スタンフォード大学のブレッチャートらの研究では、「怒りをコントロールするコツは、何に対して怒っているのか捉え直し(再評価)すること」としています。

「捉え直し」とは、感情の強度や種類を変化させる感情制御方略。簡単に言うと、状況や刺激など自らの心的状態に対する解釈を変化させる方法です。

「なぜこの人は怒っているのか」「なぜ自分は怒っているのか」と、ワンクッションを置いて考えてみる。それによって怒りのボルテージが下がっていくのです。

 たとえば、悪態をついている人や必要以上に怒っている人を見たときに、「この人って友達が少ないんだろうな」とか、「オオカミにでも育てられたのかな? かわいそうに」などと1枚フィルターをかますと、怒りが収まってきます。

 もし、あなたが列に並んでイライラするなら、「新人が慣れない作業を一生懸命やっているんだろう」という具合に、自分の感情への被害を抑えるように「捉え直し」をすると、無駄なイライラを抑えられます。すれ違いざまにぶつかられても、その人が実は目が不自由だとわかったら許せる気持ちになりませんか? 同じ事実なのに、自分がどう解釈するかだけで気持ちは変わるのです。

 もうひとつアドバイスしましょう。ヒトが持つ認知と感情の機能は、脳の限られたリソースを使っています。心的状態に対する解釈を変化させるということは、脳が「怒り」という指令を出している状況から、別の感情を出すように指令すればいいのです。怒りを感じたときは素数を数えればいい――なんていわれますが、ロジックとしては同じです。

 脳の中で怒りのスイッチが入っているときは、いわばキッチンのライトがついているような状態。であれば、違う部屋のスイッチをつけてあげればいい。計算によって脳は怒りとは違う部位の機能を使うようになり、脳とは違う部屋のスイッチが入り、自動的に怒りが静まっていく……。怒りに向けられた脳のリソースは減少していくわけです。

 イライラを自覚しているときは、「捉え直し」をするか、計算やパズルゲームなどをして、脳の違う部位を働かせてみてください。たったこれだけで、小さなイライラから解放されるはずですよ。


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堀田秀吾

堀田秀吾

1968年生まれ。言語学や法学に加え、社会心理学、脳科学の分野にも明るく、多角的な研究を展開。著書に「図解ストレス解消大全」(SBクリエイティブ)など。

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