進化する糖尿病治療法

コロナに感染しても重症化させないために知っておきたいこと

血糖コントロールを良好に保つことが大事

 糖尿病の患者さんには、「以前は病院に行っていた。でも血糖コントロールが悪くて主治医に怒られるのが嫌で行かなくなった」という人も少なからずいると思います。何も症状がないので、そのまま受診せずにいるという人もいるはず。今すぐ病院を受診し、血糖値やHbA1cを調べてください。コロナが重症化しやすい心配だけでなく、そもそもの糖尿病で取り返しのつかない状況に陥っている可能性があります。

 糖尿病は、自覚症状がなかなか出ない病気です。体がだるい、喉が渇く、目がかすむ、トイレが近い、傷が治りにくい、性機能の問題がある……といった症状が出てきたときは、かなり進行していることが考えられます。

 腎機能低下による人工透析、神経の障害による壊疽、糖尿病性網膜症による失明の危機がすぐそこに迫っているのかもしれないのです。

 繰り返しになりますが、糖尿病があれば徹底した血糖コントロールを。糖尿病だと過去に指摘された人で、今は病院に通っていない人は、できるだけ早い段階で再受診を。それが、糖尿病とコロナの双方から身を守ることになります。HbA1cが8%を超えていると危険です。また糖尿病は血管にダメージを与えます。高血圧・脂質異常症を合併していると一段と合併症のリスクが上昇します。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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