医者も知らない医学の新常識

血圧は両腕で測る 左右差が5あるごとに死亡リスクが5%増

左右差が大きい時は要注意(C)PIXTA

 医学の検査も進歩はしていますが、血圧測定が健康のバロメーターであることは昔も今も変わりません。皆さんは血圧を自宅で測定していますか?

 最近では、血圧計は簡単に手に入るようになりました。使い方も簡単になりましたから高血圧と診断されている人ばかりでなく、健康な方も測定する習慣のある人が増えているようです。

 血圧は上腕(二の腕)か手首で測定しますが、右と左を比べると、その数値に違いがあることがあります。通常、上の血圧で5㎜Hg以内の違いは正常ですが、それを超える差は問題のある場合があります。

 特に左右の違いが10㎜Hgを超えるような場合には、体の血管のどこかに動脈硬化で狭くなっている場所が存在する可能性があるのです。

 左右差がある時には、血圧の管理は高い方で行う必要があるとされています。今年の高血圧の専門誌に、血圧の左右差についての論文が発表されました。これまでの24の研究に含まれる5万人以上の患者データを解析したところ、血圧の左右差が5㎜Hgあるごとに、死亡リスクが5%増加するという結果が得られました。心筋梗塞など動脈硬化が原因の病気も、血圧の左右差が大きいほど増えていました。血圧はその数値ばかりでなく、左右の違いにも注意する必要がありそうです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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