ビートルズの食生活から学ぶ健康

そして、ポールとリンダ夫妻は本格的な菜食主義を選んだ

菜食主義は、動物愛護がきっかけだった(C)ロイター/MPTV

 さて、ここで肉類の摂取と健康について考えてみましょう。肉類摂取の悪影響を語る時、まず挙げられるのが、動物性脂肪酸です。確かに動物性脂肪酸の過剰摂取は、がん、心臓疾患、糖尿病、高血圧などのリスク要因です。特に赤身肉は、大腸がんのリスクを高めます。ある米国のがん研究機関では、赤身肉の摂取量は1日80グラム以内にすべきとしています。

 現在では、日本人も肉類摂取過多の人が増加傾向にあります。すぐに食生活を転換するのは難しいかもしれません。私自身、ポールとリンダのような完璧な菜食主義を強く勧める考えはありません。

 しかし、患者さんへの健康指導として、1週間21食のうち、特に夕食においては、肉食過多にならないように主菜は肉と魚を1日おきに交互に取るよう進言しています。

 1日平均80グラム以内の赤身肉摂取は実現できるはずです。

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松生恒夫

松生恒夫

昭和30(1955)年、東京都出身。松生クリニック院長、医学博士。東京慈恵会医科大学卒。日本消化器内視鏡学会専門医・指導医。地中海式食生活、漢方療法、音楽療法などを診療に取り入れ、治療効果を上げている。近刊「ビートルズの食卓」(グスコー出版)のほか「『腸寿』で老いを防ぐ」(平凡社)、「寿命をのばしたかったら『便秘』を改善しなさい!」(海竜社)など著書多数。

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