「老衰」が日本人の死因3位に浮上 なぜ増えているのか?

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 そもそも老衰死はなぜ起こるのか?

 それは年を取ると全身の細胞が徐々に死を迎え、細胞分裂による再生が行われなくなるからだ。当然、代謝機能も低下し、異常なタンパク質が多くつくられ、筋肉や心臓や腎臓など各臓器の異常が起きるようになる。

「しかも、老化した細胞から特殊な免疫物質が分泌されることで、周りの細胞の老化が促進されるとともに、全身に炎症が起きるようになります。そうなると、今までできていたことができなくなる、体が痛いなどの症状が表れます。やがて食事をしても体が栄養を受け付けなくなり、全身の機能が衰弱していきます。そして命を維持することができなくなるのです」

■安らかな死にはお金も必要か

 よく、老衰死は苦しみが少なく、平穏だといわれる。それは痛みを感じる感覚器やそれを脳に伝える神経、脳までも他の臓器と同様にその機能を衰えさせるからだ。老衰死する人は、亡くなる5年ほど前から食が細くなり、1年ほど前になるとその傾向がより顕著になる。やがて床に伏すようになり、水分すら取らなくなり、枯れるようにして亡くなるのが一般的だ。また脳の働きが低下するため、認知症を併発する人も少なくない。

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