残念なニュースが報じられました。元宝塚の女優で日本舞踊家の峰さを理さんが先月30日、甲状腺未分化がんで亡くなったそうです。
何が残念かというと、昨年1月に肩の違和感を覚えたものの、コロナ禍で受診を控えたため、7月に甲状腺未分化がんと診断されたこと。このがんは、とても進行が速く、診断の遅れが悲劇を早めた可能性が考えられるのです。
のどぼとけの下にある甲状腺は4、5センチほどと小さいながらも、ホルモンを分泌。子供のころは成長にかかわり、成人すると代謝を調節する、とても重要な働きをになっています。
そこに発生したがんが甲状腺がんで、そのうち9割は乳頭がんとよばれるタイプで、ほとんどは悪性度が低い。男性の前立腺がんと同様に治療せず、経過を観察する監視療法があるのは、そのためです。低リスクの乳頭がんなら、10年生存率は99%以上とまず悪さをしません。
Dr.中川 がんサバイバーの知恵