進化する糖尿病治療法

初の認知症治療薬が登場か?それまで脳を健康に保つ方法

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 認知症は、高齢になればだれでもリスクが高くなる病気です。しかし糖尿病があり、血糖コントロールがうまくできていないと、認知症の発症リスクはより高くなります。糖尿病がある人はそうでない人に比べてアルツハイマー型認知症になるリスクが約1・5倍高く、脳血管性認知症のリスクは2・5倍高いとの報告もあります。

 現在、アルツハイマー型認知症には4種類の薬(アリセプト、レミニール、イクセロンパッチ、リバスタッチ)が認可されています。ただ残念ながら、現在使われている薬は認知症の「治療薬」ではありません。つまり、認知症の進行を遅らせられても、進行を止める効果はなく、最終的に認知症は進行します。症状を劇的に改善させる効果もありません。

 4種類の薬に期待できるのは、脳で生き残っている神経細胞を活性化させ、ある程度の働きを保つことです。認知症症状である記憶障害を緩和する作用も報告されています。脳の神経細胞の活動のバランスを調整し、イライラや不安を少なくするので、生活の質が上がる効果も期待できます。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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