ビートルズの食生活から学ぶ健康

ポールは高尾山の頂上で「かき揚げそば」をリクエストした

肉は食べずとも、パワーはいまも健在(C)共同通信社

 前回のこのコラムで紹介したように、ポールとリンダの菜食主義への転換のきっかけは動物愛護の思いからでしたが、それが次第に人間の健康の問題あるいはエコロジーへの関心にまで及んでいきました。2人の世界に向けたメッセージ発信は、ジョンとヨーコのそれとは異なる性質のものではありましたが、その影響力は小さくはありませんでした。

 その後、残念なことにリンダは乳がんを患い、98年に56歳で生涯を閉じます。しかし、ポールはリンダの死後も菜食主義生活を続けます。2002年の来日の折には、ポールは東京・八王子にある高尾山に登ります。ある報道によれば、頂上にある日本食堂でかき揚げそばを注文します。ちなみに、ポールはその時、かき揚げはアツアツのそばの上ではなく、別の皿に盛り付けてもらったそうです。その理由は定かではありませんが、もしかすると動物性の食材が入っていないかを確かめたのかもしれません。

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松生恒夫

松生恒夫

昭和30(1955)年、東京都出身。松生クリニック院長、医学博士。東京慈恵会医科大学卒。日本消化器内視鏡学会専門医・指導医。地中海式食生活、漢方療法、音楽療法などを診療に取り入れ、治療効果を上げている。近刊「ビートルズの食卓」(グスコー出版)のほか「『腸寿』で老いを防ぐ」(平凡社)、「寿命をのばしたかったら『便秘』を改善しなさい!」(海竜社)など著書多数。

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