ビートルズの食生活から学ぶ健康

ポールは高尾山の頂上で「かき揚げそば」をリクエストした

肉は食べずとも、パワーはいまも健在(C)共同通信社

 その頃、すでにポールはヨーコらとともに「月曜日には肉を食べるのをやめよう」をスローガンにした「ミートフリー・マンデー(Meat free Monday)」という啓蒙運動をスタートさせています。牛のゲップによるCO²排出を含めて、肉牛飼育に付随したさまざまな大気汚染の可能性を指摘し、肉牛生産の抑制を訴えたメッセージも発信しています。そして、ポールは当時の英国キャメロン首相宛てにつづった手紙を公開しています。それによれば、「ミートフリー・マンデー」の広がりは、地球と人類の未来を守ることに寄与すると述べています。「(食肉の大量生産によって)有害な温室効果ガスが生み出され、土壌、水、エネルギーなどの貴重な資源は次第に消耗し、持続不可能なレベルに達する」とした上で、地球環境の悪化、気候変動、多様な動植物の「種」の絶滅の危険性を指摘しています。

 ポールの主張は、食の欧米化が定着した日本人にとっても他人事ではありません。しかし、たとえば「朝食=ご飯、焼き海苔、漬物、みそ汁、昼食=かき揚げそば、夕食=ご飯、湯豆腐、野菜のおひたし、漬物、みそ汁」といった和食であれば、「ミートフリー・マンデー」流の立派なメニューです。塩分過多に注意が必要ですが、さらに、ご飯を雑穀米、麦ご飯、玄米ご飯にすれば、完璧な健康食であり、エコロジーにも有効です。

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松生恒夫

松生恒夫

昭和30(1955)年、東京都出身。松生クリニック院長、医学博士。東京慈恵会医科大学卒。日本消化器内視鏡学会専門医・指導医。地中海式食生活、漢方療法、音楽療法などを診療に取り入れ、治療効果を上げている。近刊「ビートルズの食卓」(グスコー出版)のほか「『腸寿』で老いを防ぐ」(平凡社)、「寿命をのばしたかったら『便秘』を改善しなさい!」(海竜社)など著書多数。

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