身近な病気の正しいクスリの使い方

市販の風邪薬には自分に不要な成分がいくつも含まれている

市販の風邪薬は必要な成分だけが入っているものを(C)日刊ゲンダイ

 冬に身近な病気といえば「風邪」が思い浮かぶのではないでしょうか。医学的には「風邪症候群」と呼ばれ、上気道(喉と鼻、肺の手前にある気管支)にウイルスが感染し、炎症が起こり、鼻水や喉の痛み、熱といった症状が表れる病気です。ほとんどは安静にしていれば自然回復します。

 原因はウイルス感染ですから、インフルエンザや新型コロナウイルスのように、検査によってウイルス種が同定されれば、「オセルタミビル」(タミフル)や「ファビピラビル」(アビガン)のような治療薬を使うケースもあります。

 しかし、ウイルス種が同定されない場合には、治療薬によるものではなく、「解熱鎮痛剤」や「去痰剤」など症状に合わせて対症療法を行う、または安静を促すだけという治療が一般的です。

「抗生剤」は細菌に対する薬で、ウイルスに効くものではありませんから、無駄な薬を使わないように注意が必要です。抗生剤の飲み薬は一般の薬店では買うことができないので、間違えて購入してしまう心配はありません。

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神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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