それを改めて痛感させられたケースがありました。80歳のがん末期の男性は、4月に退院して在宅医療に切り替え、7月に息を引き取りました。自宅で過ごした3カ月間は、この上なく充実した時間だったようです。
男性が常々口にしていたのが、「人間っていうのは気力が大切やね。僕の場合は何かを食べたいと思うことが元気の証しやね」。ワインが大好きで、体としてはもうアルコールを受け付けられる状態じゃなかったのですが、ワインを一口飲んだり(なめると言う方が合っているかもしれません)、亡くなる1カ月前には、前回参加時には「これがもう最後」と思っていた仕事仲間との同窓会にも参加し、仲間とたくさん飲んだり食べたりしていました。
そして「先生に会えなかったら人生が狂ってた。80年生きて、最後にこんなに素晴らしい人生を送れると思わなかった」と言葉を残され旅立たれていかれました。
最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと