医者も知らない医学の新常識

「ぽっちゃり体形は健康」は本当か?予防医学専門誌で検証

写真はイメージ
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 健康診断で「肥満」と診断されると、「健康のために体重を減らしましょう」と言われます。

 体重が増えたことで中性脂肪や血糖値が上昇したり、肝機能が悪くなったりしていれば「肥満が健康を害している」と理解できるので、前向きにダイエットに取り組もう、という気持ちになります。

 しかし、中には他の検査値には異常がなく、「体格だけが異常」と判定されていることがあります。こうした場合にも本当に肥満は悪いのでしょうか? 

 体形には個人差があり、少し痩せている方が体調の良い人がいる一方で、少し太めの方が体調が良いという人もいます。

 また同じ体重でも、筋肉が多いか脂肪が多いかで、その状態にも違いはありそうです。

 今年の予防医学の専門誌に、運動習慣と体格との関連を検証した論文が掲載されています。

 体格の指標であるBMIという数値で、肥満と判定されている人に運動療法を施行して、運動をあまりしていない肥満のない人と比較しました。

 すると、たしかに運動をしていない同じ体格の人と比べれば、運動をしている人は健康的で、糖尿病などの病気のリスクも低かったのですが、肥満があると、それだけで糖尿病などのリスクは増加していて、運動習慣もそれをゼロにすることはできませんでした。「運動をしていても、健康な肥満はない」と、そう考えた方がよさそうです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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