それでも、やはり医療費をやりくりするだけでは医師育成の予算は捻出できないとなった場合は、国民に負担してもらうことがどうしても必要です。近年の日本では、社会保障費を主に負担している15歳以上65歳未満の生産年齢人口は約7500万人ですから、1人当たり年間1万5000円弱を負担すれば、医師育成費の1兆円を捻出できます。年間の薬価を5000億円節約できれば、1人当たり年間6000円強の負担で済みます。
これで、全国どこでも質の高い教育を受けた医師に診てもらいやすい医療環境が整備されるのです。負担が増えても、自分にとってはお釣りがくるくらい有益だと感じる人も多いのではないでしょうか。
ただ、こうした医師育成システムを実現させるには、強烈なリーダーシップを持った人材が必要です。いまの医療界には既得権益を持っている立場の医師がたくさんいて、国が公費で医師を育てて全国に配置するシステムの導入に猛反対する側の指導者も存在するからです。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」