「三寒四温」で頻発?目の奥の痛みやギラギラした光は天気痛が原因

規則正しい生活を送ることが大事
規則正しい生活を送ることが大事(C)日刊ゲンダイ

 天気が荒れた今週は体調を崩した人も多かったのではないか。春先は「三寒四温」と言って「3日間寒い日が続いた後に4日間暖かい日が続く」と言われる。もとは中国東北部の冬の気候を表す言葉で、日本では早春になると低気圧と高気圧が交互にやってきて、寒暖差がはっきりしてくる。そのため同じ表現が使われるのだが、「三寒四温」を起こす気圧、気温の変化は頭痛やめまいなどの天気痛やそれに伴う視覚異常の原因となる。とくに新型コロナウイルスによるリモートワークで目を酷使している人は、目に異変が表れると大変な問題が起きたと思うかもしれない。天気痛に伴う視覚異変の原因と対処法を日本眼科学会専門医で「清澤眼科医院」(東京・南砂)の清澤源弘院長に聞いた。

■物がゆがんで見えることも

「眼科の患者さんでこの時期多くなるのが、閃輝暗点の患者さんです。閃輝暗点とは視界の中心からギラギラした光や模様が徐々に視界全体に広がり、数十分ほどで治まる症状を言います。片頭痛の前兆として表れることが多く、女性にみられやすい。頭痛のほかに吐き気や疲労感を伴ったり、光や音に敏感になる人もいます」

 片頭痛の前兆となる目の症状には、ほかに色覚の変化または喪失、ぼやけた視力、画像の万華鏡のような破砕像、物体の歪み(実際よりも近く、遠く、または大きく見える)、または水を通して物事を見ているように見える場合もある。

「その原因は天気痛と同じで、耳の奥の内耳と呼ばれる部分にある気圧センサーが気圧の変化を感じることで、交感神経と副交感神経のバランスが乱れてしまうからです。すると頭痛の原因である血管の拡張の前に脳血管攣縮が起こり、脳の視覚領域に一過性の虚血が生じます。その結果、ジグザグ模様の光が視野の中心部分から次第に広がるというわけです。この症状は20~30分で消えます。また、子供を中心に片頭痛後に眼筋麻痺が続く『眼筋麻痺性片頭痛』を発症する人もいます」

 米国立頭痛財団によれば、天気痛による片頭痛の視覚異変は実際の片頭痛に30分~1時間先行して起きるという。

「天気痛に伴う片頭痛や視覚異常が起きれば、安全に運転したり、落ち着いて仕事をすることは困難です。天気痛を甘く見てはいけません」

■天気や気圧の変化と自分の症状を記録

 では、天気痛による視覚異常のダメージを和らげるにはどうしたらいいのか?

「まずは、自律神経系のバランスを整える生活を心がけることが大切です。なるべく毎日同じ時刻に起きて、朝食はしっかり食べる。最近はエアコンなどのおかげで寒さ暑さを感じることが少なくなりました。こうした体に優しい生活は、自律神経系の働きを弱めることにつながり、気象の変化で自律神経のバランスが崩れやすくなって、天気痛に悩む人が増える原因のひとつと考えられます。これを是正するためには適度に体を動かしたり、湯船にゆっくり入るなどして、意識して汗をかくようにしましょう。また、天気痛の人は内耳の血流が悪い傾向があることが知られています。なので血流を改善する“めまい薬”を使うのも手です。内耳のリンパ液の流れをよくする漢方薬と一緒に飲むのもいいかもしれません。かかりつけの医師や薬剤師に相談してみてください」

 天気痛がいつ自分の体に表れるかを知っておくことも重要だ。

 そのためには、天気や気圧の変化と自分の症状を記録することも大切となる。

「どのような天気や気圧・気温変化があるときに自分の体調が悪化するのかを知っておけば、むやみに不安な気持ちにならず、体調の変化に対する心構えや薬を飲むタイミングもわかります。気象庁のホームページなどで気圧や気温などの変化を調べて、体調管理に活用するのもいいかもしれません」

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