コロナ第3波に備える最新知識

感染から回復した人や無症状感染者もワクチン接種は必要か

ワクチン接種を受ける高齢男性
ワクチン接種を受ける高齢男性(C)ロイター

 日本でも新型コロナワクチンの接種が始まった。政府発表の計画では16歳以上を対象に無料で行われ、医療従事者4万人の先行接種が、次いで約370万人の医療従事者、4月からは65歳以上の高齢者3600万人の接種が行われる。以降は基礎疾患のある820万人、高齢者施設の職員など200万人を優先しながら順次実施されるという。

 対象者には住民票を登録している地方自治体から「接種のお知らせ」と「接種券=クーポン」が郵送される。それを確認のうえ、接種会場を選んで電話やインターネットで予約。接種会場でクーポンを提示する。

 原則接種は住民票を登録している市区町村で行う。ただし、出産で帰省中の妊婦、単身赴任者、遠隔地に下宿中の学生、入院・入所中の人、基礎疾患がある人で主治医のもとで接種する場合、災害の被害者らは住民票の登録地以外でも接種できる。ただ、原則、接種の対象期間中に希望する市区町村に事前届け出する必要がある。

 むろん、接種は強制ではない。厚労省も「接種は強制ではありません。しっかり情報提供を行ったうえで、接種を受ける方の同意がある場合に限り、接種が行われます」としている。とはいえ、副反応への懸念はあっても、欧米でのワクチン接種による感染予防効果や重症化リスクの低下、副反応の少なさなどから多くの人は接種を受けるだろう。

 ただ、ワクチン供給が十分でない状況で、なぜ接種前に抗原検査やPCR検査をして対象者を絞らないのか、疑問に思う人もいるかもしれない。

■フランスは感染者の1回接種を推奨

 そもそも、すでに感染して抗体を持つ人や感染しても症状が出ない潜伏期間中の人にワクチン接種しても大丈夫なのか? 北品川藤クリニックの石原藤樹院長が言う。

「CDC(米疾病対策センター)もサイトで、『ファイザー』や『モデルナ』のmRNAワクチンを念頭に、感染経験のある人も安全に接種できると示す臨床データがあると説明しています。また、感染しても再感染を防ぐに十分な抗体ができているとは限らず、仮にできていてもいつまで続くかわかりません。ですからCDCも、感染して回復した人にもワクチン接種を勧めているのです」 ただし、日本でのワクチン接種計画では接種後3週間後に2回目を打つが、既に300万回以上接種しているフランス保健省は、過去に新型コロナ感染症にかかったことのある人は接種は1回でいいとしている。

「1度ワクチンを打った後に再度予防接種を受けると、血中の抗体が速く高く上がる。これをブースター効果といいます。軽症でも過去に感染した人は最初の感染で1回目のワクチン接種と同じ効果が得られていて、1度のワクチン接種でブースター効果が得られると考えられるからです」

 ちなみに、感染しても無症状の人への接種も問題ないと考えられている。

「新型コロナウイルスが感染して体内に抗体を作るには鼻や喉で急速に増殖して免疫系を刺激。鼻、口、肺、胃の内側の粘膜で抗体を作りますが、時間がかかります。しかし、mRNA新型コロナワクチンは、筋肉の奥深くに注射することで、速やかに新型コロナウイルスのタンパク質の一部が作られ、ヒト免疫細胞がそれを異物と認識して抗体を作り出す。結果、全身が早期に抗体で満たされ感染を防げるからです」

関連記事