「私たちの体には、傷付いた血管を修復する機能が備わっています。最近、脂肪を構成している脂肪細胞から、体の働きを調整する物質が多く分泌されていることが分かっています。そのひとつがホルモン様物質の『アディポネクチン』です。この物質には血液に乗って全身を巡り、傷付いている血管を修復したり、血管の炎症や酸化を抑えたりする働きがあります。血液中のアディポネクチンを増やすことが、血管の健康維持に直結するのです」
脂肪細胞から分泌されるホルモン様物質を増やすことと、運動習慣にどんな関係があるのか。じつは、脂肪細胞は大きくなり過ぎると、途端にアディポネクチンの分泌をストップさせてしまうのだ。
特に皮下脂肪よりも内臓脂肪が増加すると、アディポネクチンの分泌量が低下するという。
逆に内臓脂肪が増えると、脂肪細胞は悪玉物質の「悪玉アディポサイトカイン」を大量に分泌するようになる。この悪玉物質は、血栓をできやすくしたり、血圧を上昇させたり、血糖値を下げるインスリンの働きを悪くしたりする。つまり、アディポネクチンの分泌を増やすには、運動習慣で内臓脂肪を減らすことが重要になるわけだ。
病気を近づけない体のメンテナンス