進化する糖尿病治療法

「薬の飲み忘れ」や「注射の打ち忘れ」は主治医へ相談を

写真はイメージ

 この調査では、「病識・治療態度」と「生活スタイル・性格」に関する回答を、因子分析を用いて分析。残薬が生じている患者さんには2つのタイプの傾向がみられたそうです。

 具体的には、「自分は軽症で服薬管理は難しくない」といった楽観的志向と、「フルタイム就業などで生活が多忙で服薬管理は難しいと感じており、自分の病態の現状をあきらめている」といった治療あきらめ志向です。

 なお、これら残薬について医師に報告しているかという質問に対しては、残薬がある患者のうち34・7%は「申告をしていない」。つまり、3人に1人は残薬を申告していませんでした。

■使いやすいタイプに変更できるチャンス

 もし残薬やインスリン注射の打ち忘れがあるようなら、「怒られるかも」などと思わず、ぜひとも医師に申告してください。薬の開発は日進月歩であり、新しい薬が登場しています。複数種類の薬が合わさった合剤や、週1回の注射でよいインスリン注射、また1日のうちでどのタイミングで打ってもいい注射などが出ています。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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