進化する糖尿病治療法

「薬の飲み忘れ」や「注射の打ち忘れ」は主治医へ相談を

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 冒頭で述べたように、医師側としては、薬の飲み忘れ・インスリン注射の打ち忘れは極力避けたい。もし飲み忘れ、打ち忘れがあるようなら、どうすればそうならずに済むかを考え、対策を講じます。糖尿病の患者さんは、高血圧や脂質異常症などほかの生活習慣病を抱えている人も多い。何種類もの薬を飲んでいる場合は、ほかの薬と飲むタイミングを同じにできる糖尿病の薬に替えるという手もあります。患者さんの性格によって、週1回のインスリン注射の方が合っている人もいれば、むしろ毎日打つ方が打ち忘れがないという人もいるでしょう。

 医師から「こういう新しい薬が出たので、どうですか? ◎◎さんにはそちらの方が合っているかもしれませんよ」などと提案してくれるのでは……と考えている患者さんもいるかもしれません。今まで処方していた薬では血糖コントロールが難しくなった場合や、これまでとはメカニズムが違う非常に優れた薬が登場した場合は、医師からそういった提案があるかもしれませんが、一般的に医師は現状を維持してしまいがち。患者さんから何もアクションがなければ、従来薬で良いと判断し、薬を替えようとはしないでしょう。

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坂本昌也

坂本昌也

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

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