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ウオノメに市販薬は効く?皮膚科ではどんな治療をするのか

皮膚科医の川嶋千朗氏
皮膚科医の川嶋千朗氏(提供写真)

 皮膚の一部に圧迫や摩擦といった物理的な刺激が繰り返し加わることによって、皮膚の角質が肥厚(はれて厚くなる)します。

 このとき、角質の肥厚と同時に患部の中心に芯ができるのが「ウオノメ」(正式名称「鶏眼」)、角質の肥厚が盛り上がるのが「タコ」(正式名称「胼胝」)と呼ばれます。

 痛みが強くなければ市販薬でセルフケアも可能です。ただし、ウオノメをカッターやカミソリなどの刃物を使って削るのはおすすめしません。

 自分で処置すれば出血することがありますし、刃物をきちんと滅菌ができていないとバイ菌が入るからです。市販薬なら「スピール膏」「ウオノメコロリ絆創膏」などは効果がありますね。

 角質軟化作用の「サリチル酸」が含まれたパッドで、硬く厚くなった皮膚をやわらかくして除去します。痛みがそれほど強くなければ、まずはパッチを貼って1週間ほど様子をみてください。

 受診に来られる患者さんは、痛みが強くて歩けなかったり、足裏にいくつもできたり、何度も再発しています。ウオノメだった場合の治療法は肥厚した角質を医療用の器具で削ります。

 ただし、外来に訪れる患者さんの場合、ウオノメだと思っていたら、「青年性扁平疣贅」や「尋常性疣贅」といったウイルス性のイボであるケースが少なくありません。

 それらは、ヒト乳頭腫ウイルス(ヒトパピローマウイルス)というイボをつくるウイルスの感染でできるもので、ウオノメと思っていたら、このウイルスの感染であることがあります。

 ウイルス性のイボだった場合は、患部の角質部分を削った後に、液体窒素で焼く「冷凍凝固療法」、または芯まで削り取る「炭酸ガスレーザー」によって治療します。

 冷凍凝固療法は、マイナス196度の超低温の液体を綿棒などに染み込ませ、ウイルスに侵されている患部に当てて冷やすことで患部の組織を壊死させます。イボが完全になくなれば終わりですが、数回にわたって行うことが多いです。保険適用になります。

 一方、炭酸ガスレーザーは、局所麻酔をして、イボの根底から焼き切る方法で、保険適用外です。液体窒素が効きにくい場合に利用する方が多く、一回で治ることもあります。

 また、イボが多発する場合、漢方薬の「ヨクイニン」の内服を併用して治療することもあります。はとむぎの一種です。

 ウオノメかウイルス性のイボかの見極めは判別しにくいため、パッチをしても治らなかったり、痛みが強くなってきたら皮膚科を受診しましょう。

▽川嶋千朗(かわしま・ちあき) 東京医科大学卒。皮膚科医。都内・関西などの皮膚科クリニックでの豊富な経験を持つ。国内だけでなく米国皮膚科学会やレーザー学会・抗加齢学会をはじめ、海外の学会に参加し、積極的に最新の治療技術を取り入れる。2002年、麻布皮フ科クリニックを開設し、院長を務める。さまざまな医療現場で活躍するスーパードクターたちが出演の公式YouTubeチャンネル「SuperDoctors -名医のいる相談室-」でも解説します。

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