コロナ第4波に備える最新知識

それでも消えない新型コロナワクチンの長期的リスクの可能性

日本国内では重篤な副反応の発生報告はないというが…
日本国内では重篤な副反応の発生報告はないというが…(C)ロイター

 新型コロナワクチンの国内先行接種が始まり1週間以上が経過した。気になるのはワクチン接種による副反応だ。新型コロナワクチンが劇的な効果を生み、深刻な副反応が起きないことを切に願うが、医学とはあくまでもメリットがデメリットを上回る場合にのみ成立するもの。メリットだけしかない医学はあり得ない。ワクチン予防医学においてもそれは変わりなく、短期のみならず長期的なリスクの可能性についても考えるべきである。

 厚労省の発表によると2月24日午後5時時点でワクチン接種を受けたのは計1万7888人。報告された副反応の疑いは「じんましん」「冷感・悪寒戦慄」「脱力で手足が上がらない」の3件で、「アナフィラキシー」など重篤な発生報告はないという。

 海外ではどうか。日本より2カ月早くワクチン接種が始まった米国ではCDC(米疾病対策センター)が昨年12月14日から1月13日までの最初の1カ月の「予防接種後副反応報告システム」(VAERS)のデータを公開している。この期間中1379万4904回の接種で寄せられた6994件の副反応報告は次の通りである。6354件(90・8%)は軽度で、頭痛(22・4%)、倦怠感(16・5%)、めまい(16・5%)の順に多かったという。

 深刻な報告は640件(9・2%)で、アナフィラキシーは100万接種当たり4・5件。インフルエンザ1・4件、肺炎2・5件、ヘルペス9・6件で目立って高かったわけではなかった。

 一般的にワクチン接種に伴う副反応の報告頻度は短時間のものが高い。たとえば、血管迷走神経反射は接種後から30分程度、アナフィラキシーは接種後4時間以内、発熱・腫脹は2日以内、Ⅳ型アレルギーは1週間以内で、血小板減少性紫斑病、ギラン・バレー症候群でも1カ月以内の場合が多いとされる。

■抗体依存性感染増強のリスクも

 しかも、ワクチンは副反応報告制度により、危険なシグナルをキャッチする体制も整っている。だからこそ、以前よりもワクチンは安全性が高いと言えるが、残念ながら副反応は必ずしも短期間に表れるものだけではない。副反応が接種後すぐの発熱やアレルギーショックといったわかりやすい形ではなく、長期的な感染リスクの増強という形で表れることもある。

 ワクチン接種後に、実際のウイルスに自然感染すると、通常よりもウイルスを取り込みやすくなる「抗体依存性感染増強(ADE)」という現象がまさにそうだ。

 これは、ワクチン接種した人が自然感染した場合に起こる可能性があるとされるもので、ワクチン接種で誘導された抗体がウイルスに結合。ウイルスが結合した抗体ごとにヒト細胞内に取り込まれることで、ウイルスがヒト細胞に感染するのを助長するというもの。2016年にフィリピンでデング熱ワクチン「Dengvaxia」を接種後に、小児が死亡した原因のひとつとして指摘されたことを機に広く知られるようになった。

 コロナウイルスに関しても、重症急性呼吸器症候群(SARS)や中東呼吸器症候群(MERS)ワクチンを接種する動物実験で、接種後にADEのような現象が確認されている。

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