医者も知らない医学の新常識

世代を超えて…祖母の喫煙で男子孫の喘息リスクが4割アップ

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 たばこが体に悪いというのは、もう医学でなくても常識ですが、たばこをやめられない人は「俺が自分の責任で吸っているんだから他人は文句を言うな」というように逆ギレすることもあります。しかし、実はそうは言い切れないのです。

 受動喫煙の害については、もうご存じの方が多いかもしれません。たとえば同じ家族で1人がたばこを吸っていると、他の家族はまったく吸っていないのに、肺の病気が増えるというデータがあります。また、妊娠した女性がたばこを吸っていると、それが胎児に影響を与えて、お子さんの喘息のリスクを増加させる、というような報告もあります。さらに最近では、たばこが子供だけでなく、孫にも影響を与えるという研究結果が報告されて話題になっています。

 今年の呼吸器学の専門誌に、オランダで3世代の喫煙の影響を分析した研究データが発表されました。3万7000人以上の家族を調査したところ、母方の祖母が喫煙者であると、男性の孫が喘息になるリスクが40%近くも増加していて、呼吸機能が低下する傾向も認められたのです。

 その原因は完全には分かっていませんが、たばこが生殖細胞の遺伝子に影響を与え、それが世代を超えて伝わるという可能性が議論されています。

 あなたがたばこを吸っていることは、子供や孫の世代に大きな影響を与える行為であるのかもしれません。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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