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「チャイナウイルス」でアジア系へのヘイトクライムが激増

トランプ前大統領は「チャイナウイルス」を連呼(C)ロイター

 一部の人たちがコロナへの怒りや憤りを中国人にぶつけようと、外見では見分けがつかないアジア系を襲っているわけですが、ヘイトクライムかどうかを認定するのは非常に難しく、地下鉄の中での嫌がらせや差別用語を含めると、相当な件数が起こっていると考えられます。筆者もパンデミックが始まった頃、ある店に入ろうとしたら閉店だと嘘をつかれ、断られる経験をしました。

 もともとアメリカにはアジア系移民に対する嫌悪の歴史があり、1882年の中国人移民排斥法、第2次世界大戦中の日系アメリカ人の強制収容などが大きな引き金となっています。しかし嫌がらせや差別はあっても、過去30年の間、ここまでヘイトクライムが続くことはなかったというのが、筆者も含めたアジア系の共通した認識です。

 バイデン大統領は就任直後、アジア系へのヘイトクライムを強く否定。これまで移民法で外国人を「エイリアン」と称してきたのを、「ノンシチズン(非市民)」と言い換えるなど、言葉から外国人へのネガティブなイメージを減らすための努力を始めています。

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シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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