専門医が教える パンツの中の秘密

AI搭載のセックスロボット 50年後は一般的になるとの予想も

写真はイメージ
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 男性用のマスターベーションのデバイス(道具)として、等身大の女性を模した人形の「ダッチワイフ」があります。風船式、ぬいぐるみ式、ソフトビニール製など、素材や作りはさまざまです。また、シリコーン製で数十万円もする高級ダッチワイフは「ラブドール」とも呼ばれます。

 マスターベーションの際には、安価で手っ取り早い「エロ本」「AV」「ネット動画」を使う人が圧倒的に多いと思います。これらのマスターベーション用の道具とダッチワイフが違うのは、女性器を模したオナホールが装着されているので「疑似性交」ができるという点です。実際に体を動かし、オーガズムを得られるので、よりリアル感があるわけです。

 さらに欧米のダッチワイフは進化を遂げています。AI(人工知能)を搭載した「セックスロボット」が次々と開発されているのです。所有者の好きな体位、性的な趣味なども認識し、最も興奮する“淫語”(スケベな言葉)やあえぎ声も発するそうです。性器は自然に人工体液が分泌され、熱を帯びるようにもなっているといわれます。

 そして、女性用の男性型セックスロボットの開発も進められていて、多くの人が50年後にはロボットとの性交が一般的な習慣になると予想しているのです。

 確かにロボットであれば自分の好みの趣味や嗜好(しこう)を学習させ、満足いく快感が得られるでしょう。ただし、ロボット(ダッチワイフ)は、あくまでデバイスのひとつなので一長一短があるのです。

 セックスロボットは、パートナーに対する性暴力や性感染症を抑制する可能性があるという意見があります。しかし、男女間の性感染症は起こらなくても、装着されたオナホールを常に清潔にしていなければ雑菌による感染症を起こします。

 また、ロボット相手に身勝手な性交に慣れてしまうと、実際の生身のパートナーとの性交時に、うまくコミュニケーションが取れなくなることが危惧されます。

 一方、パートナーを早く失った中高年にとっては、性活動を続けることは健康的にメリットがあります。それに、想像力を膨らませて疑似性交をすることは、脳への良い刺激になると思います。

 もうひとつ注意したいのは女性の腟内で射精できない「腟内射精障害」になる可能性があることです。これはペニスを床に押し付けたり、シーツにこすりつけたりして射精する「間違ったマスターベーションの習慣」が原因になります。いずれにしてもマスターベーションとパートナーとの性交は、別物と考えて楽しむべきでしょう。

尾上泰彦

尾上泰彦

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

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