役に立つオモシロ医学論文

日本食の摂取状況は認知症リスクのバロメーターになるのか

日本食特有の食材が認知症リスクの低下をもたらす

 平均で5・7年にわたる追跡調査の結果、日本食の摂取状況に変化がなかった人と比べて、大きく減少した人では72%、統計的にも有意に認知症リスクが増加しました。他方で、摂取状況が大きく増加した人では38%、認知症のリスクが低い傾向にありました。

 日本食の摂取が直接的に認知症リスクを低下させているわけではないように思います。日本食を料理し、継続的に食べることができるような人は、そもそも健康状態が良好であるといえるからです。ただ、日本食を毎日食べていたご高齢の方が、出来合いの食事で済ませるようになってきたとしたら、認知機能にも変化が起きているサインと考えることができるかもしれません。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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