AIとビッグデータは「目」の診断治療をどう変えるのか?

写真はイメージ

「そのため、この医療機器は内科や健診クリニック向けに販売され、糖尿病網膜症の患者さんをいち早く発見するための1次スクリーニング用の医療機器として期待されたのです」

 2020年8月にFDAから認可を得た2機種目となるEyeArtは眼底カメラ撮影の特別な練習を受けたことのない検査員が撮影した眼底映像の97%を読影でき、判定の正解率は96%だという。本格的なAIドクターの誕生だ。

「これが普及すれば糖尿病網膜症の患者数が減少するかもしれません。そもそも糖尿病網膜症とは、糖尿病によって網膜の血管が傷つき視力低下などを起こす病気です。日本では中途失明原因の第2位といわれています。糖尿病を患っている期間が長いほど発症頻度が高く、糖尿病になって10年たった人の50~60%はこの病気にかかっているといわれています」

 日本では医療機器が診断・判断を下すことができない決まりになっているため、IDx―DRやEyeArtが導入されたとしても最終的に医師の判断が求められることになる。眼科での診療では糖尿病網膜症だけの診断では不十分だからだ。

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