AIとビッグデータは「目」の診断治療をどう変えるのか?

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■失明する人を減らせる

 むろん、AIやビッグデータの応用は糖尿病網膜症の診断に限らない。緑内障でも既に臨床応用されている。そのひとつが、緑内障の視野予測だ。

「緑内障は視野の中に見えない部分ができて、それが徐々に広がっていく病気です。日本人では60歳以上で10%程度いるといわれています。日本人の中途失明第1位の原因ですが、視野の欠損は自覚しにくく、欠損していても脳が自動的に補正してしまうことがあり、発見するのが遅くなる場合も少なくありません」

 緑内障の治療には進行の速さを評価し、それに応じて治療する必要がある。だが、視野検査回数が少ないと正確な評価ができない。

「そこで緑内障視野障害の空間や時系列パターンを学習させた視野モデルを作り、検査中の患者さんの応答に合わせてそれを更新することで、視野検査の回数を減らし、精度の高い視野予測ができるようになったのです」

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