コロナ太り解消に役立つ「お酢ダイエット」 第一人者が解説

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 長引く緊急事態宣言の影響で運動ができず体が重い――。そんなコロナ太りに悩まされている人は、お酢に注目である。お酢にはダイエットの効果が認められているのだ。

 食酢研究の第一人者で、東京農業大学名誉教授の小泉幸道氏(発酵食品学)は、自らもお酢を摂取することで健康的な生活を送っている。

「お酢の健康効果は昔からさまざま伝えられてきました。それが科学的に解明されて、長期間にわたって取り続けることで得られる素晴らしい効果についても分かってきました」

 そのひとつが肥満の解消に役立つことだ。

 大手食品メーカー「ミツカン」の研究によると、BMI(【体重〈キログラム〉÷身長〈メートル〉の2乗】で算出される肥満度を表す指数)が25~30と肥満気味で、平均血中脂肪が155・5㎎/デシリットル(正常値は150㎎/デシリットル)の成人男女に、大さじ1杯のお酢を朝晩2回に分けて12週間、毎日摂取してもらったところ、平均でBMIは1・5%、血中脂肪は18・2%減少したという。

 厚労省の「国民健康・栄養調査」(2019年)によると、成人男性の3人に1人(33%)はBMIが25以上と肥満ゾーンに入っている。40~50代の働き盛り世代に限れば、ざっと4割が25オーバーだ。こうした人たちは、お酢の恩恵を受けられそうである。

 同研究では、体重と腹囲も、それぞれ1・6%、1・5%減少した。「つきやすくて落ちにくい」とされる内臓脂肪も4・9%減っている。

 内臓脂肪が蓄積した体形は「リンゴ形」と呼ばれ、男性に多い肥満タイプ。高血糖や高血圧などを引き起こす健康リスクを高めるだけに、健康診断のたびに気になっている中高年男性は少なくないだろう。それにしてもなぜ、お酢にはそんな力があるのか。小泉氏は「酢酸の働きによって、脂肪の合成が抑制される一方で、脂肪の燃焼も促進されるからです」と言う。

「お酢の主成分である酢酸は、肝臓で代謝される際にAMPKという酵素を活性化させることが分かっています。AMPKが活性化すると、細胞内で糖や脂肪の燃焼を促進する物質が増える一方で、脂肪酸の合成をつかさどり脂肪を蓄えるために働く物質の減少を引き起こします。そのため酢酸は、脂肪の燃焼促進と合成抑制の両面に関与していると考えられているのです」

■カルシウム摂取量も増やす

 成人女性が気になるカルシウム不足の解消にも、お酢は役立つという。50歳以上の日本人女性の3人に1人、70歳代では2人に1人が骨粗しょう症といわれている。丈夫な骨を作るにはカルシウムの摂取が欠かせないが、問題はカルシウムを多く含む食品を摂取しても、体内に吸収するのが難しいことだ。

「カルシウムの吸収率は牛乳でも50%、小魚類は30%、海藻や野菜は20%以下といわれています。これはカルシウムが容易に溶け出すことがないから。そんなとき役立つのがお酢。食材をお酢で煮ると、カルシウムが煮汁に多く溶け出します。そのため煮汁ごと摂取すれば、カルシウムを多く取り込むことができるのです」(小泉氏)

 たとえばシジミの味噌汁の場合、200ミリの水に殻付きのシジミを50グラム入れて、小さじ1・5杯の酢を加えて弱火で8分間煮てから、小さじ2杯の味噌を入れる。酢を入れない場合と比べると、「カルシウムが溶け出す量は3・4倍に増える」という。

 内臓脂肪が気になる男性や骨密度が気になる女性は“すっぱい生活”を心がけるとよさそうだ。

東京農業大学名誉教授の小泉幸道氏
東京農業大学名誉教授の小泉幸道氏(C)日刊ゲンダイ

 

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