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やたらと喉が渇く…何かの病気のサインでしょうか?

井筒琢磨医師
井筒琢磨医師(提供写真)

 すぐに喉が渇く症状が顕著になった場合、考えられる疾患はいくつかあります。糖尿病、バセドー病をはじめとした甲状腺機能亢進症、慢性腎不全、副甲状腺機能亢進症による高カルシウム血症などの電解質異常症、尿崩症、シェーグレン症候群などが挙げられます。

 一般的に成人男性(体重60キロ)の1日の必要水分量は2~2・5リットルとされています。1日3リットル以上飲んでいても、口の渇きが治まらないとなれば、病気を疑うべきです。

 たとえば、糖尿病で喉が渇くのは、血液内の糖の比率が多くなり、高くなった血糖値を体内の水分を使って薄めようとするためです。

 副甲状腺機能亢進症では、脱水が関係しています。副甲状腺は甲状腺の裏側にあり、そこでは血液中のカルシウムを調節する働きをしています。副甲状腺機能の働きが何らかの原因で活発となりカルシウム濃度が上昇しすぎると尿量が増え、脱水症状を引き起こすのです。

 骨粗しょう症の治療薬「活性型ビタミンD3製剤」にも血液中のカルシウム濃度を上昇させる効果があり、効果が過剰となった場合に、こちらも尿量を増やし、喉の渇きが表れるケースもあります。

 初期の慢性腎不全の患者さんも尿量が一時的に増えるため、喉が渇く原因となります。

 シェーグレン症候群は自己免疫疾患の一種で、唾液腺に障害をきたし、味覚障害やドライマウスを起こします。

 また、この時期に花粉症治療薬の副作用の一面として喉の渇きを訴える患者さんがいます。

 花粉症治療薬に含まれる抗コリン成分には、唾液の分泌を少なくする作用があるからです。花粉症治療の薬を飲み始めてから喉の渇きが気になるという方は、かかりつけ医に相談してみましょう。

 病気が原因で喉が渇く場合、別の症状も出てくるはずです。糖尿病や甲状腺疾患なら、生活習慣は変わらないのに、1カ月で2~3キロ体重が減ります。

 足がひきつったり、トイレの回数も増えるケースもあり、これらの症状は電解質異常症でも表れます。

 甲状腺疾患なら、首が腫れたり目がクリッとしてきます。

 また尿量の調節をするホルモンが正常に働かなくなる尿崩症では、冷たい水ばかり飲みたくなるのが代表的な症状です。

 こうした併発症状があれば、必ず近くの医療機関にかかってください。どこにかかれば分からない場合は、糖尿病・腎臓内科を選ぶのが適切です。

▽井筒琢磨(いづつ・たくま) 2014年岩手医科大学医学部卒業。16年仙台市立病院循環器内科、19年から社会福祉法人仁生社「江戸川病院」糖尿病・代謝・腎臓内科勤務。社団医療法人「啓愛会」理事、(一社)日本内科学会認定内科医などを勤める。さまざまな医療現場で活躍するスーパードクターたちが出演の公式YouTubeチャンネル「SuperDoctors -名医のいる相談室-」でも解説します。

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