セックスが痛い

してほしいこと、嫌なことを伝える切り口に“フェチ話”

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「私は○○フェチ」なんて、お酒の席で耳にすることがある「フェチ」。

 友人は夫の服のニオイが好きと言いますし、以前の職場の先輩はブルーのワイシャツが似合う人に引かれる「青シャツフェチ」。私自身は男性の上腕二頭筋に、つい目を奪われてしまいます。同じフェチの人がいると話は盛り上がるし、人の意外なフェチを聞くのも楽しいものです。

 一方で、セックスについては、カップル間でも本音を言い合えない。

 私は、フェチについては多くの人がオープンに口にできるのだから、フェチ話を切り口に、「だからね、私、こんなふうに触られると気持ちがいいの」「こういうセックスは痛いからNGだな」などと、してほしいこと、されて嫌なことを伝える方法があってもいいんじゃないかと思います。

 そうすれば、セックスを痛いと言い出せず我慢するしかない女性が減るはず。セックスレスの夫婦だって、どちらか一方がセックスをしたい場合、遠回しにあれこれ試みても結局伝わらず断念……なんてことは起こらないでしょう。

 ただ、ここでみなさんに考えてほしいのです。自分は何が好きで、どうしたいかをきちんと言葉にできますか? もしそれができないようなら、まずは自身に問いかけることから始めてください。

 セックスに限らず、好みを相手に伝え、自分も相手の好みを聞くというのは、訓練が必要です。「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」によると、体の感覚について言葉で表現できるようになるには経験が必要で、5歳くらいからスタートするよう推奨しています。その際、“性について興味を持つのは悪いことではない”としっかり伝えることはマストです。

 しかし私たちはすでに大人で、そういった学びや経験を積み重ねる機会がない。また、性について口に出しづらい環境にいる。だから仲がいいカップルでも、性に関してコミュニケーションを取りづらくなる。フェチ話を切り口にすれば、肩の力を抜いて、お互いのセックスの好みを知り合えるのでは……。ぜひ試してほしいと思います。

小林ひろみ

小林ひろみ

メノポーズカウンセラー。NPO法人更年期と加齢のヘルスケア会員。潤滑ゼリーの輸入販売会社経営の傍ら、更年期に多い性交痛などの相談に乗る。

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