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ワクチンが逆効果に…「フィリピンショック」はなぜ起きたか

(C)ロイター

 しかし、4種類の型すべてに免疫(抗体)を誘導するデング熱ワクチン「Dengvaxia」が開発され、2016年4月にフィリピン保健省は公立学校に通う約80万人の子供に対し、世界初の「Dengvaxia」の接種を開始した。当時は9歳以上の全人口の20%にワクチン接種すれば、デング熱による疾病負担は5年以内に50%低減するとみられていた。

 フィリピンでは当初、時期尚早との反対意見が多く、WHO(世界保健機関)も推奨しなかったが、同7月に入りWHOが条件付きで推奨し始めたころから異変が。ワクチンを接種した小児がデング熱に感染すると重症化し、中には死に至るケースが続出したのだ。

 製薬会社はワクチンとの因果関係を否定できないとして、「デングウイルスに感染歴のない子供に投与すべきではない」と発表。フィリピン保健省は直ちにこのワクチンの接種プログラムを停止して販売を中止、WHOもこれを支持した。その後、製薬会社はこのワクチン接種を「接種前スクリーニングを行い、デング熱の既往が確認された者のみに接種する方法を推奨する」とした。

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