最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

認知症でも独り暮らしでも在宅で最期まで問題なく過ごせる

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 読者の中には、「認知症で独り暮らしは、さすがに在宅医療は無理では?」と思う方がいるかもしれません。独り暮らしでも問題なく、在宅医療を受けられます。

 その患者さんは、兄弟はすでに亡くなっており、甥や姪らとは連絡が取れない状態。生活保護を受けながら独居を余儀なくされている82歳の男性の方でした。

 過去に心筋梗塞を経験していたのでその治療で通院しており、脊柱管狭窄症も抱えていましたが、認知症のために内服薬の自己管理ができず、たびたび腰の痛さに耐えかねて夜中や早朝に救急車を呼ぶなどされていました。

 在宅医療は最初、週1回の訪問からスタート。その後、患者さんの状態に合わせて訪問回数を少しずつ増加していきましたが、患者さんの症状は悪化していき、ますます服薬がままならなくなっていきました。

 そのうち介護認定を申請し、訪問介護も追加。さらに訪問看護の回数を増やし、清潔保持のための体の清拭や排泄介助などを1日2回行ったり、内服管理と歩行訓練、状態観察を毎日1回実施することになりました。これにより事実上、訪問看護とヘルパーさんなどの人の目が1日に3回入ることになり、救急車を呼ぶことはなくなりました。

2 / 3 ページ

下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

関連記事