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鼻<上>「自作鼻うがい」「オイル点鼻」の正しいやり方

写真はイメージ
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「くしゃみ」「鼻水」「鼻づまり」など、慢性的な鼻炎を抱えている人はこの時季、スギ花粉症が重なるので鼻症状が一層強く出やすい。毎年、市販薬でどうにかしのいでいる人も多いと思うが、まずは耳鼻咽喉科で原因をハッキリさせておくことが肝心だ。

自力で治す!慢性副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎」(河出書房新社)の著者である「きたにし耳鼻咽喉科」(大阪府守口市)の北西剛院長が言う。

「鼻のトラブルの原因には、アレルギー性鼻炎だけでなく、副鼻腔炎(蓄膿症)、ポリープが多発する好酸球性副鼻腔炎、高齢になると起こる加齢現象の加齢性鼻炎などもあります。ですから1カ月以上も鼻の調子が悪い人は、きちんと受診して適切な治療(薬の処方など)を受けることです。その上で、自宅で行うセルフケアを加えてもらいたいと思います」

 すべての鼻トラブルの基本となるセルフケアに「鼻うがい(鼻腔洗浄)」がある。薬局などで容器と洗浄液がセットになった市販品も売られているが、ここでは自作の鼻うがいのやり方を紹介してもらう。

 使う容器は、100円ショップなどで売っている液体容器(ドレッシング容器)を用意する。そして、液体容器の注ぎ口の大きさにピッタリ合うイヤホンパッドを奥までしっかり入れる。

■鼻うがいのやり方

①水330ミリリットルを沸騰させ、30~35度になるまで冷やす②用意した容器に冷ましたぬるま湯と塩小さじ2分の1(3グラム)を入れる。注ぎ口を押さえて、塩がよく混ざるように振る③洗面台に顔を突き出し、顎を引いて容器の注ぎ口を鼻の穴に当てる。このとき、容器の注ぎ口に付けたイヤホンパッドを鼻の中に押し込まない④「あー」と声を出しながら、ゆっくり容器を押してぬるま湯を出し、鼻の中を洗う。容器の半分の量を出したら、もう一方の鼻にも同じように行う。このとき勢いよく出したり、吸い込んだりはしない⑤洗浄後、ティッシュペーパーで鼻の中の水気をぬぐう。水気が鼻の奥に残っているようなら、鼻を軽くかんでもかまわない。

「鼻の中が乾燥すると、バリアー機能が低下し、細菌やウイルスが繁殖しやすくなります。鼻の乾燥を防ぐには『オイル点鼻』が最適です。鼻腔内が切れているなどの症状がなければ、最初に鼻うがいで鼻腔内をきれいにしてから、オイル点鼻をしてみてください」

■オイル点鼻のやり方

 ゴマ油独特の香りのない「太白ゴマ油」とスポイトを用意する。

①あおむけに寝る、もしくはイスの背もたれに寄りかかり、ホットタオルで首筋と鼻柱を温める。頭をそらし、鼻の穴を上向きにする②スポイトで2、3滴の量のゴマ油を取り、片方の鼻の穴に落とす。このとき、あまり鼻の奥までスポイトの先を入れない③点鼻した方の鼻の外脇をこすり、鼻の中のオイルを全体になじませる。反対側も同じように行う④のどにオイルが流れてきたら、吐き出し、ぬるま湯で軽くうがいをする。

 鼻うがい後の点鼻は、ネット通販などで購入できるアマゾン川流域に自生する植物の「コパイバマリマリ」の樹液を使うのもいい。炎症抑制効果があるので、特に慢性鼻炎やへんとうが弱い人にはおすすめだという。

「鼻うがいは、塩を3グラム入れて作る基本的なうがい液でもかまいませんが、粘度が強く、ネバネバした頑固な鼻水の場合には、鼻の通りがスッキリしないことがあります。そのようなときは『重曹鼻うがい』をするといいでしょう。ぬるま湯に『塩5グラム』と『重曹(食用)2・5グラム』を溶かして、うがい液を作ります。重曹が鼻水の粘度を弱める働きをしてくれます」

 アレルギー性鼻炎や花粉症など、重い鼻症状を持つ人は、つらさのあまり「鼻ごと取ってしまいたい」という気分になる。

 そのようなときに、やってはいけないNG習慣がある。それは症状を和らげようとして顔や鼻を冷やしてしまうことだ。鼻が腫れて通りが悪くなったり、炎症が起こるのは鼻粘膜の血流が滞っているからで、逆効果になる。血流を良くするには「鼻カイロ」などで鼻を温めるといいという。

■鼻カイロのやり方

①水で濡らしたタオルを軽く絞り、耐熱ポリ袋などに入れて電子レンジ(600ワット)で30秒~1分加熱する②鼻の付け根から鼻の穴までを温めたタオルで覆う③タオルがぬるくなるまでゆっくり鼻呼吸を行う。鼻水が出てくるようなら、軽く鼻をかむ。

 鼻がつまりやすい起床時や就寝前に行うといいという。

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