まず心臓のトラブルを手術で治し、心機能を回復させることによって、糖尿病や動脈硬化の状態を改善させるような手だても今のところ見当たりません。その点、脳梗塞に関しては、心房細動を治療したり心臓手術に付随して左心耳に対する処置を行えば、効果的に予防できることがわかっています。ここが糖尿病との大きな違いといえるでしょう。
ここまでお話ししてきた心臓、脳、糖尿病だけでなく、腎臓や手足の末梢血管なども含めて「血管」という大きなくくりで捉え、全身のすべての血管を丸ごと診る専門科を新たに立ち上げることができれば理想的といえます。ただ、先ほど取り上げた糖尿病もそうですが、腎臓や末梢血管などに関しては、治療がそれぞれ大きく異なることもあり、個別に対応しながら連携を深めていく体制が現状では最善といえます。
ですから、まずは腰から上、主に心臓と脳の血管をひとつのまとまりにして診る新しい治療体系をつくろうと考え、構築を進めているのです。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」