新型コロナの後遺症には「血栓」が大きく関わっている

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 新型コロナに感染するとなぜ血栓ができるのかについては、サイトカイン、血管内皮障害、ウイルスのS抗原自体が血栓を呼びやすい構造をしていることなどが考えられている。

 ウイルスがわれわれの体内に侵入すると、ウイルスを撃退するために炎症性サイトカインが血中で上昇する。サイトカインには血管の透過性を上げる作用があるため、血液が漏れないように止血の役割を担う血小板が多く集まり、血栓が作られやすくなってしまう。また、ウイルスが血管の最内層を覆っている血管内皮細胞を傷つけることで、抗血栓性分子の発現量が低下したり、血小板が凝集を起こしやすくなって血栓が形成される。

「まだはっきりしていませんが、ウイルスそのものだけではなく、感染によって作られた抗体が血管を攻撃している可能性もあります。血中に抗リン脂質抗体という自己抗体ができて、血栓症や習慣流産などの妊娠合併症を起こす『抗リン脂質抗体症候群』のような状態を招いているケースも考えられます。もしも感染してしまったら、免疫を調整する薬を使って炎症を小さくコントロールしてもらうこと、血液凝固を適宜検査して適切な抗凝固療法を行ってもらうことが後遺症を軽減するために大切だと思います」(加藤院長)

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